2009 年 6 月 6 日
日本国内における新型インフルエンザの感染状況は散発的になり、マスコミの報道も一時の過熱とうってかわり、潮が退いたように減っています。
現時点の概況を個人的に覚え書き。
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■世界的状況
先月末ごろから、秋から冬に季節のかわる南半球での感染が拡大の傾向。
WHOによる6月3日段階での発表によると、
・66カ国で19273ケース、死者117名を報告
・南半球の顕著な地域は、
オーストラリア(364→501)
アルゼンチン (37→131)
チリ (165→313)
※カッコ内は(5/29→6/3)の感染者数
・致死率
アメリカ 0.2%
カナダ 0.1%
メキシコ 1.9%
コスタリカ 2.0%
世界の報告数(6月3日 6時現在)
世界の流行地図(6月3日 6時現在)
■症状のひどさ
WHOによる6月2日の
プレス・ブリーフイング(
PDF)において
「新型インフルエンザの重症度は『中程度』という評価が現時点では公平。健康な人もふくめて、いく人かについては致命的な結果で出ていることから『軽症』とするのはためらわれる」(一部抜粋)
とケイジ・フクダ事務局長補代理がコメント。
■国内状況
□感染状況
6月4日午前11時までの
国内確定例は401。
(成田空港検疫所で確認された8例は含まず)
国立感染症研究所感染症情報センター/FETPチームによる
神戸市・大阪府での疫学調査の
暫定報告(6月5日)では、
[神戸市]
「PCR検査結果における陽性割合の推移においても、15~17歳を中心に当初は70~80%程度であったが、5月19日頃を境として顕著に減少傾向が見られ」
[大阪府]
「大阪府における新型インフルエンザ確定症例(84例のうち発症日が確認された81例)の流行(この場合は発症)は、5月17 日付近をピークに減少傾向となった」
いずれも
「終息傾向にあると考えられるが、引き続き注意深い監視と対応が必要」
□国内初の感染確認
厚生労働省の調査によれば
5月5日、神戸市の男子高校生(渡航歴なし)
発症日別感染動向
□ワクチン製造
新聞報道等によると摂取開始時期は、10〜11月の見通し。
日本で製造するワクチンの候補株は現在、CDC(2種)、ニューヨークメディカルカレッジ、オーストラリアから届いたものの4つ。このなかから1つに絞られる。
※国内のインフルエンザワクチン製造能力
財団法人阪大微生物病研究会/北里研究所/デンカ生研/財団法人化学及血清療法研究所の4団体が製造し、生産量はおよそ年間2800万本とされる。
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過去のパンデミックでは、第2波以降に死者数が増加したケースが目立ちます。
国内はひとまず終息傾向のようですが、今後が気になります。
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2009 年 6 月 4 日
以前、取材中にどきっとした経験があります。
インタビューに応えてくださった方が、胸を押さえて黙りこんだのです。
こちらの質問に対して「反応がよくないな」、なにか気分を害すようなことを口にしてしまったり、質問が的を得ていないのだろうかと気になりだして、しばらくしたときのことでした。
取材相手の方は小さなスプレー缶を取り出し、口元でシュっとそのガスを吸い込むと、肩で大きく息をしました。
その方は心臓に持病があり、取材中に軽い発作を起こされたのです。
幸い大事に至らず、しばらくの休憩後、取材はつづけられ無事終了しましたが、やっぱりAEDの使い方ぐらいは知っておかないといけないな、と思わされました。

トレーニング用のAED
というわけで、AED(自動体外式除細動器)の簡単なレクチャーを聞きに行ました。
実際にAEDに触って手順を確かめてみると、想像していた以上に、注意点が多くてちょっと意外なカンジ。
「AEDから流れる音声ガイダンスに従えばいいだけ」という具合に紹介されることが多いのは、敷居を低くして、いざというときに誰もが恐れずにAEDを利用してもらいたいからなのでしょうが、やっぱりそれだけでは不十分のようです。
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2009 年 5 月 20 日
いよいよ明日から、司法制度改革の目玉として、裁判員制度がスタートします。
もっとも実際に一般の人たちが参加して裁判が開かれるのは、数ヶ月先になるのかしれませんが。
この新しい制度に関しては、昨年、東京地裁刑事部の判事さんや日弁連の司法制度改革調査室嘱託の弁護士さんに直接、お話をお聞きしたことがあります。
みなさん一生懸命、新制度スタートの準備をされていて、裁判員制度の有効性について語っていました。「裁判に参加し、みんなと意見を述べ合うことで得られる理解ややりがい、達成感も、少なくないと思います」という言葉には、なるほどとも思いました。
個人的には「裁判への国民参加」は、概ね賛成です。
でも、いったいぜんたいどう捉えたらいいんだろう?
と困惑したり、要望したいことはいくつかあります。
制度の問題点については、寝た子が起きたように先週辺りからマスコミでも改めて採りあげているようですが、あまり目立っていない点について二、三、「覚え書き」しておきたいと思います。
■控訴審(上告審)はこれまで通り
国民参加の裁判員制度で行われるのは、第1審。つまり地裁だけです。
検察、被告が地裁判決を不服として、より上の法廷で審理される場合はこれまで通り、プロの裁判員だけで行われます。
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