先週ごろから新型インフルエンザにまつわる報道がまた目立ってきました。
沖縄で国内初の死亡例が8月15日に確認されてから立てつづけに神戸、名古屋と3名の死亡例が明らかになりました。
いずれも糖尿病などの基礎疾患を抱えている高齢者という共通項を待ち、持病のある方は重症化しやすいという、かねてからの指摘が現実になった格好です。透析患者さんや糖尿を患っている方は免疫力が低下しているため、ハイリスク群とされていました。
前2例ではタミフルの投与も受けていますが、陽性判定までに時間がかかっていたような様子もあり、効果をあげることはなかったようです。
ほかにも衆院選の立候補者が感染で活動を控えたり、甲子園に出場する選手やプロ野球チームでの集団感染例も報道されており、感染拡大が顕著です。
現在、気象庁は異常天候早期警戒情報を出しており、8月23日〜9月1日について、「関東甲信、北陸、東海、近畿、四国で、平均気温がかなり低くなる確率が30%以上」と注意を促しています。
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‘H1N1’ タグのついている投稿
新型インフルエンザのこれまで 5
〜流行目前の気配
2009 年 8 月 19 日 水曜日
新型インフルエンザのこれまで 4
2009 年 7 月 29 日 水曜日
九州北部や中国地方を記録的な豪雨がおそったり、梅雨明け宣言したはずの関東甲信越も戻り梅雨(?)のような不順な空模様がつづいています。さて、新型インフルエンザ関連の経過報告ですが…。
■新型インフル、夏になっても衰えず
夏場になると下火になると思われていた新型インフルエンザですが、国内の感染者数は増加するばかりです。厚生労働省によれば、新規感染者の報告総数は、
6/25 1000人超
7/08 2000人超
7/15 3000人超
7/19 4000人超
7/24 5000人超
という、右肩上がり。
季節性インフルエンザが春先から下降しているのとは対照的です。
(感染症情報センター:過去10年間との比較グラフ(週報))
■冬季の南半球では猛威
一方、冬を迎えている南半球での感染拡大は顕著です。以前、オランダ・ユトレヒト大の西浦博氏は、5/9〜6/1までの感染例から日本国内での基本再生産数(R0)を2.3と推計しました。
同氏は、6月のニュージーランドでの基本再生産数(R0)を平均1.96と弾き、学校での集団感染が目立つ日本ほどではないにせよ、高い値であると推定しています。(The New Zealand Medical Journal 2009; 122(1299))
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関連する記事
新型インフルエンザのこれまで 3
2009 年 6 月 16 日 火曜日
国内での散発的な発生は相変わらずですが、「喉元過ぎれば…」なんとやらというほどに、多くの人の関心はよそに移ってしまったようです。
ここにきて、政府が行った検疫による「水際作戦」に対し、有効性や弊害の有無について言及する報道や発言が断片的に出てきているようですが、きちんと評価するにはもっと情報がほしいところです。
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さて、新型インフルエンザに関する気になった話題が4つほど。
1. イギリスで患者1人死亡
2. 国内事例から推計する基本再生産数(R0)=2.3
(未成年に限ると2.8)[PDF]
3. 兵庫県の集団発生事例で疫学的リンク不明は7件
4. 新型インフルエンザの一部のウイルスに、
人の間で流行しやすくなる変異が見られる、とする報告
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