九州北部や中国地方を記録的な豪雨がおそったり、梅雨明け宣言したはずの関東甲信越も戻り梅雨(?)のような不順な空模様がつづいています。さて、新型インフルエンザ関連の経過報告ですが…。
■新型インフル、夏になっても衰えず
夏場になると下火になると思われていた新型インフルエンザですが、国内の感染者数は増加するばかりです。厚生労働省によれば、新規感染者の報告総数は、
6/25 1000人超
7/08 2000人超
7/15 3000人超
7/19 4000人超
7/24 5000人超
という、右肩上がり。
季節性インフルエンザが春先から下降しているのとは対照的です。
(感染症情報センター:過去10年間との比較グラフ(週報))
■冬季の南半球では猛威
一方、冬を迎えている南半球での感染拡大は顕著です。以前、オランダ・ユトレヒト大の西浦博氏は、5/9〜6/1までの感染例から日本国内での基本再生産数(R0)を2.3と推計しました。
同氏は、6月のニュージーランドでの基本再生産数(R0)を平均1.96と弾き、学校での集団感染が目立つ日本ほどではないにせよ、高い値であると推定しています。(The New Zealand Medical Journal 2009; 122(1299))
厚生労働省は、サーベイランス(監視)体制を7/24以降、「早期探知を目的とした個人感染の察知」から「集団感染の把握と病原性や薬剤耐性の変化」へとターゲットの軸足を切り替え、拡大を前提にした方針に変更しました。
これにともない医師の届けも「集団的な発生」に限定されます。
しかし秋以降に南半球からのウイルスが、国内でさらなる流行を引き起こす可能性が高いことを考えると、それでも報告が追いつかなくなるような事態が起こるかもしれません。
また、国内で3例報告の上がっているタミフル耐性を獲得した新型インフルエンザの今後の動向も気になるところ、です。
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