■好奇心のタネ
先日、都内のスーパーで、ミラクルフルーツを発見!ワクワクを抑えきれず、さっそくお買い上げ。
一粒、580円也。

ミラクルフルーツ
ミラクルフルーツが「miracle」である由縁は、この実を食べると、その後しばらく酸っぱいものが甘く感じられるよう味覚が変化してしまうため。ほとんど魔法のようですが、これ、テレビなどで見たことのある方も多いでしょう。
西アフリカが原産で、日本では小笠原諸島で栽培されていると耳にしたのですが、こちらは神奈川県産。どうやら葉山あたりで育てられているらしい。
(※調べてみたら近頃は amazonでも扱っているようで…。すごっ!)
以前、小笠原の父島に行く機会があったのですが、トライするチャンスに恵まれず、あおずけになっていました。小笠原村のカタキを23区で討つ!?
ついにリベンジです。
実の大きさは、ちょうど落花生ぐらい。
口にすると、熟して軟らかいサクランボのような食感で、中心にはすこし縦長のタネが。
この果肉やタネを、舌の表面によくからめるように、…しばしモゴモゴ。
■実食。はたして…
ミラクルフルーツ自体に、ほとんど味らしい味はありません。期待するような劇的なナニかの予兆は皆無です。

左端は練り梅です
「本当に酸っぱさが甘味に変わるンかいな?」
半信半疑でレモンをかじります。
「ん、んんん。酸っぱくなーい!」
酸っぱさがゼロになるわけではないものの、それは微か。
むしろネーブルのような甘さが。これはイケる。
ザ テレビジョンの表紙を飾るアイドルのような笑顔でレモンをむさぼる、むさぼる。(^^;)
ポッカレモンのストレートでさえ「おいしいよー、スウィートだよ〜」。
つづいて梅干し。
これも「甘〜い」。
蜂蜜づけにしたようなテイストが広がります。
これなら酸っぱいものがいくらでもいけます。妊婦さん泣かせです。
もっとも、だからといって調子に乗ってはいけません。
レモン果汁のpHは2.0〜3.0ぐらいありますし、梅干しも2前後ほどでしょうか。
やたらと食べると、歯のエナメル質に悪かったり、胃なども痛めかねないので、ほどほどに。(^_^;)
■味覚修飾タンパク質のはたらき

ヒトの舌には味の成分をキャッチする鍵穴「味蕾(みらい)」が約1万個あるといわれています。
ミラクリンは酸味と反応して、甘味の鍵穴とつよく結合する作用があり、私たちの脳はその信号を鵜呑みにして、「甘味、甘美〜!」と錯覚してしまうというわけ。
酸味がゼロになるわけではないのは、ミラクリンが酸味の鍵穴をふさいでしまうような仕組みではないからです。
効果がつづく時間は、実の状態や人によってそれぞれのようですが、結局この日、1時間ほどは確実に効いていました。
いやあ、その間、麦茶は「午後ティー」に、トマトは砂糖がけ状態にと、スウィートのジャブ、ストレートの連打。
完全にKOされました。(笑)
この面白い物質の応用についてですが、現在は筑波大学で、遺伝子組み換えの技術を用いたミラクリンを含むレタスやトマトの研究開発が進められているようです。
うまく利用すれば、糖尿病など生活習慣病の方の食生活に大きなうるおいを与えるかもしれません。将来に期待です。
また、ミラクリン同様、味覚を修飾するタンパク質「ネオクリン」をつかって、味覚そのものの仕組みを解き明かそうしている研究グループもあります。
味覚科学の進歩にも、味覚修飾タンパク質は大きな意味を持ちそうです。
タグ: ネオクリン, ミラクリン, ミラクルフルーツ, 味蕾, 味覚修飾タンパク質, 小笠原諸島