サイは投げられた

きのう、参議院でも臓器移植法の改正A案が可決・成立しました。施行は1年後になります。

新型インフルエンザの影響で今年は見送られたものの、WHOの勧告が来年にも出されるという状況で、混乱する政局に飲み込まれて廃案にならなかったことには、一定の評価をすべきかもしれません。廃案になった場合、また数年先延ばしということも考えられます。

しかし一方で、この法案がベストなものかというと、個人的には大いに悩みます。
衆議院解散という影がちらついていたがゆえに、時間切れを意識して一気に話が進みすぎ、必要な議論がなされたとは言い難い印象です。

今後の課題も山積みです。
前回のブログとも一部、重なりますが、パッと思いつくだけでも

 ・ガイドラインの詳細決定
  (たとえば、同意に要する「家族」の範囲など)
 ・6歳未満の脳死判定基準の整備
 ・虐待児の判別をどう行うか
 ・疲弊している(小児)救急現場の対応体制づくり
 ・移植コーディネーターの不足

…などなど。
なかには1年では到底困難と思われるものあります。

とくに、(小児)救急現場の充実と移植コーディネーターの問題は重要です。
「十分な治療が尽くされた」と理解して初めて、ドナー家族は臓器の提供にイエスと言えるでしょうし、メンタル面も含めて一貫したケアがなければ、善意の裾野は広がっていかないでしょう。

改正案はあくまでスタートライン。
結果を喜ばしいものにするため、社会全体で運用をフォローしていく必要をつよく感じます。

 

タグ: 改正A案, 移植ツーリズム, 移植医療, 脳死移植, 臓器移植法

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